ヨーロッパの上半期の総決算的な意味合いを持つキングジョージ。正確なレース名はキングジョージVI世&クイーンエリザベスステークスで、今年で69回目を迎えました。過去にこのレースを制した世界的一流馬は非常に多く、ラムタラやハービンジャーなども制しています。

今年は一昨年の覇者でもあるエネイブルが出走し、日本国内の人気でも圧倒的な1番人気でした。2番人気は前走のプリンスオブウェールズSを制し、念願の初GⅠ勝利を手にしたクリスタルオーシャンです。クリスタルオーシャンは前走デットーリ騎手が騎乗していましたが、今回は大本命のエネイブルに騎乗するため、ドイル騎手に乗り替わっています。3番人気はイギリスダービー馬のアンソニーヴァンダイク、4番人気は日本のシュヴァルグランでした。

レースが行われる少し前に雨が降り、馬場状態が少し重めになったようです。もし雨が降らずに乾いた状態のままであれば、エネイブルにとってはマイナスになる可能性が高く、それに対してシュヴァルグランにとってはプラス材料でした。ですが結果としては雨が降ってしまい、スピードなどよりもパワーを要する馬場になったわけです。

ゲートが開いてスタートすると、まずノルウェーがハナを切ります。それに続いてハンティングホーン、マジックワンドなどという展開です。ノルウェーのリードは比較的大きく、道中では3馬身ほど突き放していることも。3コーナーにかかるとノルウェーの手応えは少し怪しくなるものの、まだまだリードは保っています。4コーナーを回って最後の直線に入って、まだノルウェーが逃げたまま。ですが内や外から複数の馬が襲いかかろうとします。

そんな中先頭に立ったのが1番人気のエネイブルですが、内からやってきているクリスタルオーシャンも負けてはいません。このままゴールまで併走状態が続き、最後は人気のエネイブルが2番人気のクリスタルオーシャンを少し抑えて勝利しました。着差こそ少ないものの、その力は圧倒的なものであり、すでに歴史的名馬になったといっても過言ではないでしょう。

それにしてもエネイブル以外にクリスタルオーシャンの強さも気は際立ちました。また両馬とも5歳、これからますます活躍してくれるでしょう。残念ながら日本のシュヴァルグランは6着に敗れましたが、勇気をもってよく遠征してくれました。キングジョージが終了し、次のクラシックディスタンスの世界規模の大レースは凱旋門賞です。このレースには日本馬も複数出走予定なので七騎の会も大変注目しています。競馬ファンの皆さんも楽しみにしていましょう。

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